数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。AFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

医療保険 実はあんまり もらえない?

こんにちは。FPのみかりこです。

今日は医療保険について考えてみたいと思います。

皆さん、医療保険に入ってますか?

多くの人は入ってると思いますが、自分の入っている保険の保障内容を把握していますか?

もし、手元に保険証書を持っていたらぜひ出してみてください。

f:id:mikarico:20170518162405j:plain

入院日額5,000円とか1万円とか、手術給付金10万円、20万円などは皆さんわかっていると思います。

ここで注目してもらいたいのは「入院給付金支払限度」です。

「一回の入院につき60日」「通算1,095日」などと書いてありませんか?

これはどういうことかと言いますと、病気やケガで一回入院した場合、日額5,000円なら、最大で30万円の保障までしか出ないということです。しかし、9割は60日以内に退院する(5割は1週間以内に退院)というデータがあります*1

とすれば、問題ないと思いますよね。

しかしここには落とし穴があります。

通算というのは、次の入院まで、半年(180日)あけば、同じ病気やケガが原因でも、また入院日数限度60日が使えるので、単純に考えて1,095÷6018回入院できるわけです。

関連性がなければ、退院後、またすぐに入院しても60日限度を一から使えます。

肺炎で一か月入院して退院した後に、すぐに事故にあって、骨折してさらに二か月入院などです。しかし、こんなこと人生にどのくらいあるでしょうか。

同じ病気で入退院を繰り返すというという話はよく聞きます。今の病院はあまり長く入院させてはくれません。いったん自宅に返す、あるいは他の病院に転院させるなどして、期間を短くしています。この場合、再入院すると前の入院と関連しているとみなされ、一回の入院として扱われ、60日までしか保障されません。半年何事もなければいいわけですが、その場合は完治していることがほとんどです。

要するに、

軽い病気やケガである場合・・・給付金は少ししかもらえない

重い病気やケガである場合・・・60日限度しかもらえない。

 

結論、どっちにしろあまりもらえない。

 

これに対し、保険料はいくら払っているでしょうか。

35歳の人が日額5,000円の終身医療保険に入って、月に保険料を3,500円払っているとします。

42,000円×25年(60歳払込満了)=1,050,000

※仮に払込期間を60歳としましたが、これを終身払いにすると月々の保険料はもう少し安くなりますが、死ぬまでずっと払い続けることになるので、長生きする人にとっては損です。

 

105万円払って、入院する確率はどのくらいあるでしょうか。

下の図は人口10万人に対して、入院している患者数(受療率)を表したものです。

f:id:mikarico:20170518162422j:plain

厚生労働省 平成26年(2014)患者調査より

 

図を見てもわかるように、圧倒的に65歳以上が多いのがわかります。

ある特定の日に入院している患者数であるにしても、64歳以下では1%にも満たないことがわかります。そして年々減っていく傾向にあります。

平成26年9月調べの在院日数の平均である平均在院日数は31.9日となっています。*2

およそ1か月入院したら、給付金は15万円です。その間1回10万円の手術をしたとして、合計25万円。入退院を繰り返したとしても、限度の60日があるので最大でも30万円です。(手術給付金はその都度支払われる場合が多い)

 

年をとるといろんな病気にかかるので、別の疾患であれば、60日の限度枠を何度も使えるから、やっぱり保険に入っていてよかったとなるかもしれません。がしかし、ここにも落とし穴があります。

たとえば、最初に胃がんになって入院し、のちに転移し、肺がんになったとしても、それは転移、併発として、一回と扱われてしまいます。

また、心臓病で入院していて、その心臓病に起因して脳梗塞になった場合も、一回とカウントされてしまうのです。

だいたい病気というものは、悪いところがあって、それが原因で他の病気を招いてしまうものです。それに対し、リスクヘッジできないというのは、医療保険っていったい? となってしまいます。

 

結論としては、35歳から医療保険に入った場合、因果関係のない病気やケガ(1回手術して一か月入院)を4回以上すれば、元が取れる計算になります。

 

元は取りたくないものですね。

 

そもそもこの程度の金額なら、医療保険に入らなくても問題なさそうですが、その理由に、日本の健康保険の存在があります。

70歳未満までの自己負担額は3割、70歳以上75歳未満は2割、75歳以上は1割で済みますし、その自己負担額も一定額(9万円弱位)を超えると、超えた部分が高額療養費として払い戻されます。事前に健康保険組合に申請して「限度額適用認定証」を病院に提示すれば、窓口の支払いを自己負担限度額とすることもできます。

ただ、注意したいのは、保険外費用(食事代、差額ベッド代など)は高額療養費の対象とはなりません。先進医療にかかる技術料も保険外となるので、このあたりが、お金を持っている人と持ってない人との受けられる医療サービスの差となり、如何ともし難い現実です。

健康保険にはさらに傷病手当金というものもあります。病気やケガで働けなくなった場合、その間の給料の支払いがないこと(あれば差額支給)を条件として、会社を休んだ4日目以降、1年半を限度として、給料の2/3が支給されるというものです。

意外と手厚いなぁと感じたかもしれませんが、こちらは、自営業者などが入る国民健康保険にはありません。実際、働けなくなって無収入になるリスクは自営業者のほうが高そうなので、ここは民間の保険に入る必要性がありそうです。医療保険の枠とは少し違いますが、所得補償保険というものがありますので、自営業者の方は検討してみるといいと思います。

 

まとめ

現役世代は医療保険に入らずとも、ある程度貯蓄があれば乗り越えられるように思います。

問題は、会社を退職し年金暮らしになった時に、生活費と、これから本格的に掛かってくる医療費、介護費用をどう捻出するかです。これはもう、皆さんが最も不安に思うことでしょう。

次回は、その核心!「老後のお金の不安をどう解消したらいいか」について書いてみたいと思います。

 

*1:(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」より

*2:平成26年9月中の全国の退院患者についての平均在院日数(厚生労働省 平成26年(2014)患者調査より)