大学に タダで行けると 勘違い
こんにちは。FPのみかりこです。
「大学無償化」が始まりましたね。この制度、まったく恩恵がない、とか、低所得世帯ばかり手厚くてずるいとか、あまりいい声を聞きませんが、いろいろ誤解している部分もあると思うので、まずはどんな制度なのかを簡単に説明したいと思います。
正式な名称は「高等教育の修学支援新制度」と言います。高等教育とは、高校卒業後の教育を指すので、大学だけでなく、短大や専門学校も含みます。家庭の経済状況によって、進学を諦めることがないようにとの思いから始まった制度なので、当然、支援の対象となるのは低所得世帯のみです。どのくらいの所得ならば支援の対象となるのかは後ほど説明します。
「無償化」と言われていますが、正確には、
1.授業料と入学金の減免
2.給付型奨学金の支給
の二つによって無償化を実現しています。
住民税非課税世帯の学生の支援額が満額となり、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、満額の2/3あるいは満額の1/3の支援額となります。
授業料と入学金をどのくらい減免してくれるのか気になりますよね。国立と私立の別、学校の種類(大学or短大or専門学校など)で減免の金額の上限が異なります。
私立大学に行くと授業料を最高70万円減免してくれるわけです。
もう一つの支援として給付型奨学金があります。給付型というのは、返さなくていい奨学金です。大学などに行って学ぶためには、授業料だけでなく、教材費や施設費、下宿をすれば家賃、生活費とたくさんのお金がかかります。そうしたお金を給付型奨学金が助けてくれるわけです。これも自宅生と自宅外生で金額が違います。
さて、これらの金額はすべて住民税非課税世帯の学生が支給を受けられる最大の金額(満額)です。それよりも収入があると段階的に2/3、1/3と支援が減らされていきます。実際にどのくらいの年収の世帯が支援を受けられるのかは下表を見てください。
家族の形態によって、年収の目安は変わってきますので、正確に知りたい方は日本学生支援機構 進学資金シミュレーターで確認してみてください。
住民税非課税世帯の学生が私立大学に自宅外から通った場合、4年間で総額669万8,400円の支援が受けられることになります。これはかなりの金額ではないでしょうか。
しかし、JASSOの平成30年度学生生活調査によると、私立大学に自宅外から通った場合の年間の学費と生活費の合計は約250万円。4年間にすると1,000万円になります。これは初年後の入学金や生活準備金などは含まれていないので、実際はもっとかかることになります。
670万円近い支援があっても、まだ足が出るというのは、大学進学がどれだけ金がかかるということを痛感しますね。しかも、大抵の人はこの支援を受けられないのですから、毎日が節約モードでせっせと教育費を貯めるしかないわけです。
結論 “大学無償化”という言葉に惑わされてはいけない!