お金の勉強をするブログ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

貯蓄より 投資をしろと 国は言う


こんにちは FPのみかりこです。

相変わらず政府は「貯蓄から投資へ」と言い続けていますが

これができる人は限られていますよね。

昔から「投資をするなら余剰資金で」とスローガンのように言っていますが

そもそも余剰資金がある人はどのくらいいるのでしょうか。

「余剰資金ってなに?」と言われると、人それぞれですが、ここでは1年分の生活費を残して余ったお金としましょう。二人以上の世帯であれば1ヵ月の生活費を25万円として、1年分は300万円なので、300万円以上のお金を持っていたら300万円を超えた分が余剰資金になります。

そこは積極的に投資をしましょう!ということになりますが

この時点で投資できる人たちは限られてきますね。

ところで、日本人の平均的な貯蓄額はいくらか知っていますか?

総務省の2021年の調査結果では、二人以上の世帯における1世帯当たり平均貯蓄額はなんと1880万円!

「まじで!!みんなそんなにお金持ってるの!!」ってなりますよね。

ただ皆さん知っているように、貯蓄額の平均はあてになりません。

1人が10億円持っていて残りの99人が100万円しか持っていなくても

平均すると1000万円以上になってしまうからです。

ではより実態を表すといわれる中央値はどうでしょうか。

同じ調査の結果では中央値は1104万円でした。

「ええ!?やっぱりみんなそんなにお金を持ってるのかー」ってなりませんか?

みんな結構「お金ないない」言いながら実は隠し持ってたのかーー

と昔の私ならそこで終わっていたかもしれませんが、すぐに中央値も信用ならないとわかります。

貯蓄額(二人以上の世帯)

同調査結果をグラフにしたものです。100万円未満が10.5%となっていますが、4000万円以上も12.8%と両極端な結果となっています。平均値が入る1800万~2000万円帯は2.7%と少なく、中央値でさえも5.3%となっており、実態を表していないことがわかります。

とはいえ、4000万円以上持っている人が12.8%もいるのは、格差が広がっていることを感じます。いったいどの層がそんなに持っているのか気になりますよね。

そこで年齢別のデータも見てみましょう。


年代ごとの平均貯蓄額を表しています。60 歳から69歳が一番多くなっているのは、退職金を得ているからでしょう。20代、30代は高く出る傾向がある平均額でも1000万円に届いていないことがわかります。子育てでお金がかかる若い世帯に余裕がないことがうかがえます。

 

この総務省の調査は二人以上の世帯の貯蓄額であり、単身世帯についての調査がありません。そこで金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)」のデータもご紹介します。

当然二人以上の世帯よりも単身世帯の方が貯蓄額は少なくなりますが、注目してほしい点は平均値と中央値の開きです。持つ者と持たざる者で完全に二極化しているのが見てとれます。一般的に、年齢が高くなるにつれて貯蓄額は増えていくものですが、単身世帯の中央値だけが30代から年齢が上がっていくに従って減っていき、50代では30万円になっています。60代でまた上がっているのは退職金の影響でしょう。

年代が上がるに従って、平均値と中央値の差が開いていくのは、二極化が時間の経過によって増幅されてしまった結果といえるのではないでしょうか。貯蓄ができる人は年々貯蓄額が積み上がっていくので、貯蓄がない人との差が激しいのが50代といえます。

そこで50代の貯蓄額の割合を金額別にしてグラフにしたものを見てみましょう。

100万円未満どころか金融資産を保有していない層の割合がダントツの41%(!)となっています。50代の単身世帯の4割が貯金ゼロと答えているのです。こんな極端なグラフはなかなか見ません。

若い世帯には余裕がない、独り身は年齢が上がっていくに従って格差が広がっていくことがこれらのデータから見えてきました。

投資ができる余裕がある人たちには時間がなく、時間がある若い人たちには資金がない

(本日の結論)