お金の勉強をするブログ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

長期間 入院すると 貯蓄ゼロ2

こんにちは。FPのみかりこです。

「長期間 入院すると 貯蓄ゼロ」の続きです。

一日の入院費用は1万円から1万5千円かかるケースが多く、仮に1万5千円としたら1ヵ月で45万円かかるという話をしました。

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ここで思い出されるのが「高額療養費制度」です。これは同じ月に同じ医療機関で支払った医療費の自己負担額が、ある金額以上になると、その超えた部分のお金が返ってくるというものです。一般的なお給料をもらっている人(標準報酬月額28万~50万円)ならその限度額は8万円強くらいなので、「36万円以上は返ってくるのか~」なんて思ったら大間違いです。

高額療養費制度の対象となるのは、保険適用の治療費や薬代などに限られます。一日の入院費用1万円から1万5千円の割合が一番多いという調査では、高額療養費を利用した場合は利用後の金額となっているので(前回記事のグラフの注釈参照)、ここで例としてあげた45万円は、全額自己負担になります。

「むむ‥貯金から出すしかない‥いや、医療保険に入ってた!!」

ようやくここから医療保険のお話です。

医療保険は役に立つ?

医療保険に入っている人は自分が加入している保険の保障内容を確認してみてください。1入院での限度日数が60日間となっていませんか?

このような限度日数が60日間の保険が実に多いのです。

こうした保険では2カ月以上の入院には対応できません。1入院とは同一の傷病を原因とする入院のことで、退院後180日経たずに、同じ病気で再度入院をすると1回の入院と見なされます。

例えば、60日間入院をした後退院し、3ヵ月後に再び同じ病気で入院した場合、これらは1入院と見なされ、最初の入院で限度日数に達してしまったため、2回目の入院では給付がありません。

近頃の傾向では、入院日数は短期化しており、その代り、入退院を繰り返すケースは増えています。1ヵ月以上入院するケースは少ないから大丈夫、とはいかない理由がここにあります。

また、精神疾患認知症などは長期入院になりやすいのですが、これらを給付の対象としている保険は多くありません。特約で保障の範囲を広げ、カバーできる場合もありますが、保険料は通常より高くなってしまいます。

さらに、医療保険で注意しなければならない問題があります。大抵の医療保険は入院や手術をした場合に給付金を受け取ることができます。つまり通院では保険は役に立たないということです。うつ病精神疾患によって病院にかかりながら自宅療養をしている場合、医療保険は使えない上に就業不能となるため、収入が途絶えてしまいます。会社員であれば、傷病手当金がありますが、自営業者の場合、無収入となってしまいます。

医療保険は通院には使えない(使える保険もあります)、2ヵ月以上の長期入院には使えない(使える保険もあります)、精神疾患認知症には対応していない(対応している保険もあります)、など医療保険は万能ではありません。これらを網羅している保険に入るとしたら保険料は高額になるでしょう。

自営業者は自衛しよう!

そもそも貯蓄があれば、使い道が限定される保険に入る必要はないといえます。保険はびっくりするほど高額な請求に備えるためのものと私は考えているので、その点では高額療養費制度が助けてくれるでしょう。問題は長期間入院した時に、収入が途絶えてしまうことです。傷病手当金がない自営業者で家族を養っているケースでは、この問題が一番大きいでしょう。

そうした状況をカバーするのが、所得補償保険や就業不能保険です。どちらも病気やケガで働けなくなったときの収入減少をカバ-する保険です。細かい違いはありますが、所得補償保険が損害保険会社、就業不能保険が生命保険会社の商品と考えるといいでしょう。自営業者や個人事業主には必要性の高い保険といえます。

注意:うつ病などの精神疾患は補償適用外であることが多いので、加入する前に確認しましょう。

なにはともあれ貯金が一番役に立つことは間違いないようです。