数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

奨学金 未来の君に のしかかる

こんにちは。FPのみかりこです。

人生における借金のナンバーワンは住宅ローンですが、その次はなんだと思いますか?

意外と借金と思わず借りている人が多い、奨学金です。私は昔から勘違いしていて、奨学金というのは、返さなくてもいいお金だと思っていて、その代り、成績優秀な人しか使うことができないものだと思っていました。もちろん、今でも返さなくていい奨学金=給付型がありますが、大学進学費用に限ると1割程度で、残りの9割は返済が必要な貸与型です。そして貸与型にも、無利子のものと有利子のものがあり、無利子のほうが、学力や所得などの利用基準が厳しくなっています。

そして今や、国公立、私立の差はあまりなく、5割の人が奨学金制度を利用している現実があります。*1

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受給額はだいたい年間20万円~70万円くらいが多く、有利子の場合でも、在学中は無利息、卒業後の利息は上限3%となっており、日本学生支援機構奨学金は現在年利0.23%(平成29年度4月)と低金利となっています。とはいえ、返済が滞るとなかなか厳しいものがあり、本人のみならず、連帯保証人にまで督促が行われ、期日までに返済されないと、延滞金(年利5%)が課せられ、一定期間を超えると個人信用情報機関に個人情報が登録されてしまいます。ここに登録されると、クレジットカードの審査が通らなかったり、住宅ローンが組めなくなる可能性もあり、これから社会に出てバンバン稼ぐつもりの若者にとって、最初の足かせになってしまうのがこの奨学金なのです。

さらに皮肉なことに、昔であったら、それだけ学費を出しても、大学卒という肩書きが重かったため、元をとれたとも言えますが、今や、それだけ借金して大学を出ても大卒は当たり前、費用対効果で言ったら、大して元がとれない状況かもしれません。

以下に大学の学費を国立、私立、文系、理系などで分けて表しました。

 

大学の学費総額

(単位:円)

大学 短大
国立 私立文系 私立理系 私立医歯系 私立その他 国立 私立
2,425,200 3,859,543 5,217,624 22,450,682 5,023,493 949,200 1,980,423

文部科学省平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」「国立大学の授業料その他の費用に関する省令」(調査時期2014年4月~2015年3月)
※私立医歯系は6年間の合計

 

これ以外に、自宅外通学をすれば月平均9万円ほど生活費がかかり、4年間で400万以上になります。*2

子供をひとり大学に行かせるだけでこれだけかかるのですから、「少子化やむなし」といった感想を覚えます。実際、これだけの費用を皆さんどのように用意しているのでしょうか。

 

大学生(昼間部)の1か月の収入の内訳

  自宅生 下宿生
家庭からの給付 86,033円 124,000円
奨学金 30,175円 38,375円
アルバイト 30,133円 23,708円
定職収入・その他 3,983円 4,567円
合計 150,325円 190,650円
収支差額 10,317円 8,558円

生命保険文化センター調べ

 

これを見ると、半分以上は親が出していますが、奨学金とアルバイトを足して3割から4割は本人が出しているという結果に驚きを隠せません。私が学生だった頃、親のすねかじりは当たり前、と言うべきか、アルバイトをしても、生活費のためというよりも社会勉強のためにやり、稼いだお金は遊びに使っていたような人が多かったような印象を持っています。これは、現在の大学生が立派というのもありますが、学費の値上がりに対し、給与は上がらないという、ここ何年かの日本の懐事情の変化が大きいように思います。デフレがずっと続いているのに教育費だけはインフレといった状態です。

こんな状況で子供を大学まで行かせるためには、子供が小さいうちから、財形貯蓄や学資保険などを利用して、計画的に教育費を準備しておく必要があります。できれば奨学金に頼らずに、全額出してあげたいとの親心はあると思いますが、奨学金もひとつの手段として持っておくことが大事です。ここで子供のためと思い意地を張って、足りない分を教育ローンで賄おうとするとあとで痛い目にあうかもしれません。日本政策金融公庫の教育ローンの金利年1.81%(平成29年)、一方、奨学金年0.23%です。昨今の晩婚化で、子供が大学生の頃、定年退職しているケースも増えています。ここで親が借金を背負ってしまうと、老後の生活が立ち行かなくなってしまいます。ここは可哀そうとは思わずに、労力も時間もたっぷりある子供に借金を背負ってもらいましょう。国もここに来て、ようやくこの奨学金問題を重く受け止め始めているので、今後は制度改革がなされていくでしょう。

 

最後に、奨学金の給付を受ける上でのアドバイスを一つ。

保証人に親や親族を立てない。

もしも、奨学金の返済に行き詰ってしまったら――

救済手段を使っても対応できない場合は、自己破産を申し立てることができます。破産と聞くと「とんでもない」と思う人もいるかもしれませんが、破産せずに、延滞金が膨らんでいくほうがリスクとなるからです。ただ、破産をして、返済を免れたとしても、その「免責」は保証人には及びません。そのため、仮に親が保証人になっていたら、親に請求がきてしまうのです。そうならないためには機関保証を利用するとよいでしょう。一定の保証料が毎月の奨学金から引かれますが、万が一の場合を考えると安心です。

 

今回のまとめ 

  1. 奨学金は今や2人に1人が利用している
  2. 奨学金を延滞すると重い延滞料や個人信用情報機関に登録されるなどのリスクがある
  3. しかし、教育ローンを利用するよりは、金利も低いので奨学金を利用したほうがいい
  4. 奨学金の保証人には親や親族は立てない
 

*1:日本学生支援機構「学生生活調査結果(2014年度)」より

*2:日本学生支援機構「学生生活調査(平成24年度)」より