数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

年収の 5倍までなら 家買える

こんにちは。FPのみかりこです。 

今回は住宅ローンについて書いていきます。

最初に私の経験談をひとつ。今から4年前、マイホームの購入を考えていた私たち家族は、住宅展示場に出かけました。実際はそれほど真剣に考えていたわけではなく、小さな子供もいたので、半分遊び気分で、一度は行ってみたい住宅展示場へ、いざ! といった感じで出かけたのでした。そうそうたる大手ハウスメーカーのモデルホームが建ち並ぶ中で、一番良さそうに見えたヘー〇ルハウスのモデルホームに入りました。それはもう憧れが形になっている素敵な部屋の数々を見て、「こんな家に住めたらなあ‥」と夢心地でいました。

すると、営業マンが近寄ってきて、いかに素晴らしい家かを説明し始め、私たちも気分が上がっているものだから、会話も弾んでしまい、そうこうしているうちに、お金の話になりました。私たちはとても買えるような金額ではないと自覚していたのですが、さすが有名ハウスメーカーの営業マン、非常にうまい説明で、なんだか買えそうな気分にさせてきました。そして「ちょっとアンケートだけでも‥」と個人データを取りにきました。私たちもここまできて書かないわけにはいかなくなり、年収やら、勤務年数やら、自己資金やらを用紙に書き込みをそれを渡すと、その営業マンは電卓を出して、住宅ローンの計算を始めました。そして、「7000万円まで借りられますね」と言い放ちました。私はその頃からFPの勉強をしていたので、思わず笑ってしまったのですが、その営業マンは真剣そのもの。その数字はどうやって出てきたのか聞いてみようとしたのですが、ごまかされてしまいました。言っておきますが、うちは極々平均的な年収です。

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前置きが長くなりましたが、ハウスメーカーや不動産やが出す住宅ローンの試算はひどいものです。年齢がいくつだろうと35年ローンで組んで、銀行がキャンペーンとして用意した優遇金利を使って計算して月々の返済額を出し、今の賃料と比べさせてほとんど変わらないことを強調して購入意欲を掻き立てるわけです。35年ローンを60歳までに払い終えるなら25歳でマイホームを買わなくてはいけません。65歳なら30歳ですね。今の時代、25歳で、結婚して子供作ってマイホームまで買い終える人がどのくらいいるでしょうか。30歳でも難しいと思います。

金利についてはどうでしょうか。今は歴史的な低金利時代と言われていますが、それはこれから下がることはないが、上がることは大いにあるということです。今の低金利で試算して、楽勝!と思って買うと、あとで泣く破目になります。

住宅ローンの金利については「変動金利、固定金利どちらがよいか」という議論がよくされますが、それについては次回以降に書きたいと思いますので、ここでは割愛します。

よく、「住宅ローンの返済額は年収の20%まで」と言われますが、年収500万円の世帯の場合、月々の返済額は8万3千円程となります。仮に月の返済額を8万円とした場合、35年ローンなら3360万円払うことになります。これには利息が含まれますから、金利が全期間を通して3%だとしたら、約1280万円が利息分になります。つまり2080万円まで借りられるというわけです。ちなみにヘー〇ルハウスの営業マンが言ってた7000万円を借りるとしたら支払い総額は1億1千3百万円となり35年ローンで月々の返済額は27万円になります。

ざっくり言えば、年収500万円の世帯は30歳までに家を買うなら、2000万円までローンが組めるという話です。

実際、家を買っている人の年齢を見てみると、一次取得者(初めて住宅を取得した世帯)に絞って見ても、30代が多くを占めますが、平均すると30代後半から40代前半となっています。

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国土交通省 平成26年度住宅市場動向調査~調査概要~より

 

40歳で35年ローンを組んだら、払い終えるのは75歳。35年ローンというのはまったくもって実態に即していない、売る側に都合のいい(あるいは銀行に都合のいい)仕組みと言えます。

40歳の人が定年までに払い終えるためには、繰り上げ返済をするか、退職金で残債を一括返済するか、最初から25年のローンを組むしかありません。仮に借入金2000万円、金利3%を25年ローンで組んだとしたら月々の支払は約9万5千円になります。「なんだ、1万5千円のアップか」と思うなかれ。住居費というのはこれだけではありません。マンションであれば、管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、都市計画税、火災保険料など、ローン返済以外に毎月5万円以上かかることは珍しくありません。しかもこの金額はローン返済後も続きます。

ところで、借入額2000万円というのは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

 

住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2016年度)」によるマイホーム購入金額の平均値です。

(万円)

 

首都圏

全国

土地付き注文住宅

4,652.1

3,954.7

建売住宅

3,646.4

3,337.8

マンション

4,754.2

4,266.7

中古戸建

2,757.0

2,305.4

中古マンション

3,061.5

2,797.1

 

これを見ると、2000万円の借入ではかなり厳しいのがわかります。マンションに至っては全国平均でも4000万円を超え、ローン以外に管理費、修繕積立金などを払っているわけですから、月々の支払いは如何ばかりかと心配になります。もっとも、マンションは首都圏に多く、高所得者のデータが値を釣り上げているにしても、実際の購入価格と、安全とされる借入金の額にはだいぶ隔たりがあるように思います。この差を埋めるのが自己資金(頭金)ですが、これは一般に「物件価格の2割」と言われます。それ以外に諸費用がかかるので、自己資金をすべて頭金には当てられません。(新築で物件価格の3~5%、中古で物件価格の6~10%諸費用がかかります)

だいたい2000万円借り入れて500万円を頭金としたら、2500万円の物件が買えます。これが年収500万円の人が無理なく買えるマイホームの価格と言ってもいいかもしれません。年収800万円であれば、4000万円の物件、年収1000万円であれば、5000万円の物件です。単純に年収の5倍と覚えるといいと思います。そう考えると先ほどのデータではマンションを買っている人たちの年収は800万円以上ないと厳しいわけです。実際は結構無理して購入している人たちは多いのではないかと思われます。

では、ローンの返済に無理が生じてきたらどうしますか? 以下にいくつか対策をあげます。番号が大きくなるほど深刻になります。

 

1.低金利の住宅ローンに借り換える

残返済期間10年以上、残高1,000万円以上、現在のローンとの金利差1%以上であれば、借り換えのメリットがあります。

2.毎月の返済額の減額を金融機関に申し出る

その分返済期間は延長されるので、総返済額は増加します。

3.物件を賃貸に出し、賃料をローン返済にあてる

家賃返済特約付きフラット35というものがあります。住宅借上げ機関に貸し出して、賃料でローンを払い、収入が安定してきて再び返済できるようになれば、また住むことができます。

4.物件を売る

最終手段です。ローンの残債より売却額の方が低い場合はその差額は払わなければなりません。

 

こうなる前に、無理のない返済を心掛けましょう。つまりは身の丈にあったマイホームを買いましょう‥ということですね。なんだか夢があるようなないようなお話でした。