年末に 源泉徴収 やってくる
こんにちは。FPのみかりこです。
まだ9月だというのに、年末の話で申し訳ないですが、今から源泉徴収票の話をしてもバチは当たらないということで、毎年もらっても、年収を確認してあとはよくわからないからたいして見ないという人のために、「源泉徴収票の見方を知っちゃおう!!」給与所得者のための源泉徴収票見方講座を開催します!
ぜひ、また年末近くなったらこの記事を見返してみてください。
①は、本年中に支払いが確定した給与等の総額、いわゆる年収です。この年収には通勤手当(非課税)は含まれないので、毎月の額面金額×12よりは少ないと思われます。
②は給与所得控除を差し引いたあとの給与所得の金額です。給与所得控除とは、給与を得るための経費のようなものです。普通の商売ですと、売上から経費を引いたものが利益となり、懐に入ってきますが、サラリーマンの場合は、給与という形で会社からお金をもらうため、そういった概念がありません。しかしそれを得るために、幾ばくかの投資をしているはずです。たとえば、会社に着ていくスーツや、ヘアカット代、仕事ために読んでる書籍など。そういったものは個々で違いますが、この際、一律で経費として引いてやろう、というものが給与所得控除です。
収入によって違いますが、180万円以下は収入×40%、65万円に満たない場合は65万円となっています。ここで思い出してほしいのが、103万円の壁です。103万円以下であれば所得税がかからないというのは、この給与所得控除65万円と、誰でも無条件で控除される基礎控除38万円を足すと103万円になるので、ここまでは税金がかからないというものです。
※2018年から150万円まで所得税がかからなくなります。
③は年末調整で控除した、所得控除の合計額です。所得控除には物的控除と人的控除の2種類あります。物的控除というのは特定の支出に配慮したもので、医療費控除や生命保険料控除、地震保険料控除などがあります。人的控除は最低生活費の維持や税を負担できる能力(担税力)の弱い人に配慮したもので、扶養控除や配偶者控除などがあります。すべての人に適用される基礎控除も人的控除になります。これらすべての控除を合計した数字がここに入ります。
④は1年間で納める所得税の額(源泉徴収税額)です。計算の仕方は以下です。
「給与所得控除後の金額②」-「所得控除の合計額③」=「課税される所得金額」(千円未満切捨)
「課税される所得金額」×「税率」-「控除額」(表1より)=「所得税の額④」
<表1>(平成27年分以降)
所得税の速算表 | ||
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
上段の①から④の説明はこんなものですが、⑤以降はその数字を導き出すための内訳となります。
⑤は人的控除の人数と区分を示しています。控除がいくらになるのかは国税庁のHPに載っています。
⑥は保険料控除の金額が記載されます。社会保険料等の金額は、給料から引かれている厚生年金保険料や健康保険料などです。これに⑦にある国民年金保険料等の金額も加わります。
⑦は⑥の保険料控除の元となる情報が記載されています。ここでは実際に払った金額が書かれていますが、全額が控除の対象になるわけではありません。控除の限度額はこちらを見てください。
⑧は住宅借入金等特別控除の額が記載されます。いわゆる住宅ローン控除です。
控除額は入居開始が平成26年4月から平成33年12月31日の間であれば年末ローン残高の限度額4000万円の1%が10年間控除されます。(最大控除額400万円)
この金額は④の計算方法で出た所得税の額から引きます。※④の欄は引いたあとの金額が記載されます。仮に全額引ききれなかった場合(住宅ローン控除額の方が所得税の額より大きかった場合)、翌年の住民税(13万6500円を限度)から引くことができます。ちなみにこの制度を受けるには住宅を購入した最初の年は確定申告をしなければなりません。
以上、これだけわかっていれば、源泉徴収票の見方を理解したと言えるでしょう。よく言われる、収入と所得の違いは、源泉徴収票で見れば、①が収入で②が所得となります。また所得でも可処分所得と言われるものは、
①の収入から、⑥の社会保険料等の金額と④の所得税とさらに住民税を引いたものが可処分所得となります。
つまり、ここで言う「所得」とは税金を取るための基準となる数値であり、「可処分所得」は実際に手にしているお金に近いものと言えます。そのため、キャッシュフロー表を作るにあたってはこの可処分所得を把握する必要があります。
なかなか、このあたりの文言はややこしいのですが、まずは源泉徴収票の①②③④を大枠で理解していれば、社会人として、ちょっと胸を張れる?‥かもしれませんね。