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数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。AFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

保険金 そんなにかけて どうするの?

こんにちは。FPのみかりこです。

前回、節約の話で “保険の見直し”はしたほうが良いと書きましたが、では、どうやって見直したらいいのかを、今回、具体例を出しながら説明していきたいと思います。

まず、結論から言ってしまうと、保険は「必要な分だけ入る」が基本です。保険で貯蓄を考える人がいますが、それは様々な金融商品を見てからの結果であればいいのですが、貯蓄と保険は切り離して考えるべきです。

では、必要な分とはどのくらいでしょうか。

 

1.どのくらいの保障が必要か 

モデルケースとして

夫(38歳)・・・会社員(年収600万円)

妻(35歳)・・・専業主婦

子供2人(6歳と4歳)

住宅ローン有(団体信用保険加入)

 の場合を考えてみましょう。

ここで、夫に不幸があった場合、残された家族が生活していくためにはいくら必要でしょうか。

 

まず、日本には遺族年金という制度があります。

遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれていて、それぞれ

<遺族基礎年金>

779,300円(平成29年度の満額)+子の加算(第2子まで各224,300円)=1,227,900円

<遺族厚生年金>

報酬比例×3/4=865,350円×3/4=649,012円

※報酬比例=平均標準報酬月額×5.769/1000×被保険者月数(300月で計算)

となるので、合計1,876,912円となります。

 

年収200万円弱では子供2人いて到底暮らしていけない、となりますが、ここでもう一度、いくらあれば暮らしていけるかを考えます。

一般的にみた家計における住宅ローン返済額が占める割合はおよそ20%*1くらいです。

ご存知のとおり団体信用保険に入っていれば、その後の返済はなくなります。

仮に今まで、ひと月の生活費が45万円だったとしたら、ローン分の10万円が不要になって、35万円。しかしこれは大人2人と子供2人の生活費。3人であれば25~30万円くらいで生活できるでしょう。

下のグラフは二人以上の世帯の家計収支の平均です。*2 

(円)

食料 71,844
住居 17,931
水道・光熱 23,197
家具・家事用品 10,458
被服及び履物 11,363
保健医療 12,663
交通・通信 40,238
教育 10,995
教養娯楽 28,314
その他の消費支出 60,371
合計 287,374

 

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あくまでも平均値(平均世帯人員3.02人,世帯主の平均年齢58.8歳)なので、子供が小さい場合、教育費がこれからかかってくるなど、収支のバランスは変わってくるとは思いますが、児童手当や児童扶養手当(1人親家庭に対して支給される手当)などの収入も考慮すると25万円あれば、普通の生活が可能でしょう。年300万円として、遺族年金が200万円入りますから、100万円足りないわけです。この35歳の専業主婦が、パートに出て100万円以上稼ぐことはそれほど難しくはないはずです。そう考えると、「あれ? 保険いらなくない?」となります。

しかしこれは「住宅ローンを組んで団体信用保険に加入していたから」であり、ここですでに保険に入っていたわけです。ローン残債を死亡保険でまかない全額返済するという仕組みなのでいわゆる生命保険と同じです。これが団信に入っていれば、生命保険はいらないという理由です。ただし、子供が小さい場合、今後多額の教育費がかかってくるはずですので、そこをカバーするために生命保険に入っておく意味はあると思います。 

では、自営業者(遺族厚生年金がもらえない)や持ち家じゃない人はどうしたらいいのか。

そうです。そういう人こそ保険でカバーすべきです。

 

2.自営業者や団信に加入していない人は保険料の節約は出来ないのか?

 

無駄な保障をなくして保険料を抑えたものに、収入保障保険というものがあります。

これは収入源がなくなった時、その後の生活費を年金形式で受け取れる保険です。

若いうちに亡くなれば、その後の人生は長いので、保障額は大きく、契約期間の終わりに行けば行くほど、保障額は少なくなります。そのため、一律の保障額のものよりも、保険料が安いというわけです。かなり大雑把ですが以下のような仕組みです。

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もちろん、この保険は掛け捨ての保険になるので、より少ない資金で万が一の保障を得たいという人向きのものです。そして保険とはそもそもそういうものであると思います。

掛け捨ての保険は嫌だなぁという人は多いと思います。私もそう思っていました。解約しても一銭も戻ってこないし、満期になっても一銭ももらえないなんて損だと。

保障もついて、貯蓄もできる保険がいいと考えるのは当然です。しかしそれは掛け捨ての定期保険と貯蓄型の保険がセットになって売っているのと同じです。「保障は少しでいいから、貯蓄部分を重視したい」「掛け捨てだけだともったいないので、少し貯蓄性のあるものにしたい」など、あとはそれぞれのニーズに合わせて、保険会社がたくさんの商品を用意しています。これについては、またの機会に詳しく紹介してみたいと思います。

保険には保険のメリットがあります。

  • 銀行の預貯金よりも利率がいい(商品による)
  • 税制面の優遇がある(「生命保険料控除」や「個人年金保険料控除」が使える)

などがありますが、同時にデメリットもあります。

  • 流動性がない(長期間資金が拘束される)
  • 途中で解約すると元本を大きく割り込むことがある 
 

資金に余裕がある人にとっては保険で貯蓄することは魅力的ですが、月々の出費を抑えたい人、余裕資金がない人にとっては、保険は万が一のリスクヘッジのために入るものと割り切って、掛け捨ての保険に入るのが有効です。

そして、その掛け捨ての保険の中でも、さらに無駄をなくしたものが収入保障保険というわけです。

生命保険の死亡保障はどんなに額を大きくしたところで、契約期間に保険事故が起きなければ一銭も支払われません。

日本人の65歳まで生存する者の割合は男性88.8%、女性は94.2%です。*3 

ほとんどの人は死にません。その万が一の時にたくさん貰いたいからといって、たくさんの保険料を払っているのは無駄以外にありません。それよりは、その万が一になった時に困らない程度の保険に入っておき、その浮いた分は、死亡率がぐっと上がる老後に備えるのが賢い保険の使い方でしょう。

次回は医療保険について見ていきたいと思います。

 

*1:総務省「家計調査 家計収支編」より

*2:総務省「家計調査 家計収支編」平成27年(2015年)より

*3:厚生労働省 平成27年簡易生命表より