数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

医療費は 保険制度で ほっとする

こんにちは。FPのみかりこです。

もし、病気やケガで多額の医療費を請求されたらどうしますか? 誰しも持つ不安だと思います。しかし、日本はこの医療費に関しては大変恵まれている国の一つです。

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国民皆保険制度のおかげで、誰しも保険給付を受けることができます。会社員は健康保険(社会保険、自営業者や年金生活者などは国民健康保険に加入します。これによって、自己負担が以下のように抑えられます。

健康保険/国民健康保険

自己負担割合

小学校入学前

2割※

小学校入学以後70歳未満

3割

70歳以上75歳未満

2割(現役並み所得者は3割)

※小児医療費助成(乳幼児医療費助成)制度により、自治体が医療費の助成を行うことによって、子供の医療費は無料になるところがほとんどです。しかし、自治体によって、無料になる上限の年齢や、所得制限などに違いがあります。ちなみに東京都は中学3年生まで無料(所得制限なし)としている自治体が多いのに対し、神奈川県の横浜市川崎市は小学1年生まで無料(小学2年生から中学3年生までは入院費のみ無料)1歳以上は所得制限ありと、自治体によってこれだけの違いがあります。

 

75歳になると、健康保険、国民健康保険の被保険者、被扶養者ではなくなり、後期高齢者医療制度の被保険者となります。

後期高齢者医療保険

自己負担割合

75歳以上

1割(現役並み所得者は3割)

 

中でも会社員が加入できる健康保険(社会保険)は、自営業者が加入する国民健康保険に比べて、様々な面で優遇されています。例えば、保険料は労使折半(事業主が半分持つ)であり、収入が130万円以下の配偶者の分を含めて、扶養の子供が何人いても保険料は変わりません。一方、国民健康保険は扶養という概念がなく、家族ひとりひとりの分まで保険料がかかります。とはいえ、収入のない子供が保険料を払えるわけはありませんから、世帯主が代表して保険料を払っているに過ぎません。保険料は所得割と均等割に分かれていて、所得割は所得が高い人ほど保険料が高くなり、均等割は加入人数(家族)が多いほど保険料が高くなります。(もちろん、上限はあります)

そのため、家族を持つ人が脱サラして、事業を始めるぞーっ!! となった時に、一番最初に来る打撃は、この保険料の高さかもしれません。他にも、健康保険(社会保険)にはあって、国民健康保険にはないものとして、傷病手当金や出産手当金の支給があります。

 

さて、ここからが本題です。日本では1週間入院して、200万円出費したということはほぼありません。(先進医療を受けたとか、豪華な部屋に入院していたなら別)

高額療養費という制度があり、自己負担限度額が決められているからです。

 

70歳未満の場合の1カ月あたりの医療費の自己負担限度額

所得区分 自己負担限度額 4回目以降
標準報酬月額83万円以上 (総所得金額-基礎控除※1が901万円超の世帯) 252,600円+(総医療費※2-842,000円)×1% 140,100円
標準報酬月額53万~79万円 (総所得金額-基礎控除額が600万円超901万円以下の世帯) 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% 93,000円
標準報酬月額28万~50万円 (総所得金額-基礎控除額が210万円超600万円以下の世帯) 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% 44,400円
標準報酬月額26万円以下 (総所得金額-基礎控除額が210万円以下の世帯) 57,600円 44,400円
低所得者(住民税非課税者等) 35,400円 24,600円

※標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険の保険料の算定に使われるもので、毎年1回(7月)に4月、5月、6月の給料の平均額を用いて国が決めているもので、実際の給料の額とは異なります。

※1 国民健康保険加入者の場合、世帯全員の所得の合計額から基礎控除額(住民税の33万円)を引いた額

※2 総医療費とは実際にかかった医療費であり、3割負担の額ではありません。仮に12万円窓口で払った場合、それは3割負担分なので、この場合の総医療費は40万円になります。

 

この表の所得区分が分かりにくいかもしれませんが、大雑把に言ってしまえば、年収300万円~600万円くらいの一般の人は、どんなに医療費がかかっても、自己負担は8万円ちょっとでいいということです。さらに、過去1年間に高額療養費を3回以上受けると、4回目以降は限度額が44,400円になるという、とてもありがたい制度です。

ただし、これらは保険が適用される診療に対して、自己負担した額が、限度額を超えた場合に、高額療養費として超えた部分の金額が戻ってくるというものなので、もともと保険適用外の治療や入院中の食事代、差額ベッド代は対象にはなりません。

また、同じ人が同じ月に同じ医療機関の診療科で受けた治療費が対象となるので、別の科であったり、あるいは同じ科でも、入院と外来は別に計算されるなど、注意が必要です。但し、同じ世帯で、同月に21,000円以上の出費が2回以上あった場合は、それらを合算して、自己負担限度額以上になれば、高額療養費が支給されます。

この自己負担限度額はひと月ごとに算定されるので、たとえば、20日間の入院費が15万円かかったとして、同月に20日間入院していれば、限度額を超えた部分が高額療養費として戻ってくるのに対して、月をまたいで入院し、前月10日間で7万5千円、今月10日間で7万5千円だった場合は、限度額を超えていないので、高額療養費の支給はありません。なんとも納得いかない仕組みですが、この辺は、改正してもらいたいものです。

 

このように、日本では医療費負担に限度額を設けているおかげで、民間の保険に頼らなくともそれほど支障はないと言えます。今や2人に1人がかかるとされるがんの治療も、高額になることをアピールして保険会社が保険加入を勧めてきますが、高額療養費の支給のおかげで自己負担額限度額以上の出費はありません。もちろん、保険適用外の治療や、食事代、差額ベッド代などはかかりますが、これはがんに限ったことではありません。よく、がん保険の特約として、先進医療費をカバーする特約がありますが、まだまだ、受けられる医療機関が限られているため、実施件数はそれほど多くないのが現状です。とは言え、先進医療を受けると軽く200万~300万円ほどお金がとんでいきます。それでも少しでも効果があるのなら、やってみたくなるのが人の常。このように、差額ベッド代くらいなら、貯金でなんとかできそうでも、先進医療のような高額な治療費となると保険に頼るのも一つの手かもしれません。ただ、先進医療は、がん保険医療保険の特約として付けるものなので、月々の保険料の負担と、実際に使う可能性を天秤にかけて、判断する必要がありそうです。

最後に、私が日本人で良かったと思うことのひとつがこの国民皆保険制度です。海外の人からすれば、「この制度があるのに、まだ保険に入るの? 日本人、保険好きねえ~」なんて思われてるかも・・・。