お金の勉強をするブログ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

その投資 余裕資金で やりましょう

こんにちは。FPのみかりこです。 

前回、投資信託の選び方まで紹介しました。次に実践編として、買い方~売り方までを紹介したいと思います。

 

1.どこの窓口で買うかを決める

証券会社か銀行で購入することができますが、手数料の安さ、取扱い本数の多さなどを考えるとネット証券がおすすめです。

 

主なネット証券と投資信託取扱い本数(ノーロード本数)

SBI証券・・・2,505本(1149本)

楽天証券・・・2,446本(1115本)

マネックス証券・・・1,017本(588本)

カブドットコム証券・・・1,017本(約半数)

SMBC日興証券・・・862本(300本)

フィデリティ証券・・・568本(303本)

 

2.口座を開設する

金融機関が決まったらいよいよ口座開設です。ネット証券の場合、サイト上に「口座開設はこちら」ボタンがあると思うので、そこで必要事項を入力し、電子交付サービスの承諾、重要書類の同意などの確認事項にチェックを入れ申し込むと、数日~1週間くらいで書類が届きます。その書類で特定口座の申し込みをします。特定口座とは証券会社で用意した、株の取引き専用の口座のことで、源泉徴収ありを選ぶと、税金を証券会社が納めてくれるので、確定申告する必要がありません。銀行口座を記載し、印鑑を押印したら、本人確認書類のコピーを添付して、返信用封筒に入れて投函すれば完了です。あとは送付されてきた書類のログイン情報を使って、HP上のお客様ページにログインして、お客様情報を入力すれば、取引ができるようになります。

 

3.入金する

証券会社の特定口座にお金を入金します。入金方法は銀行振り込みなどで入金しますが、ネット上で即日入金できるインターネットバンキングが便利です。手数料無料で、すぐに証券口座に反映されます。事前に提携銀行のネット振込を申し込んでおく必要があります。

 

4.投資信託を買う

いよいよ購入です。取り扱っているファンドの中からお目当てのものを探します。ファンド検索機能から様々な条件を付けて検索できます。ファンドを指定したら、金額買付ボタンをクリックします。続いて、目論見書などの閲覧を済ますと、注文入力画面が出てきます。ここで、金額を指定し、目論見書の確認同意にチェックを入れて、取引パスワードを入力すれば、最終確認画面が出てきて、注文完了です。

 

5.投資信託を売る

お客様ページにログインして、取引ボタンを押し、投資信託→売却と進むと、持っているファンドの一覧が出てきます。売却したいファンドを選び、売却ボタンをクリックすれば、売り注文の画面が出てきます。そこで、金額を指定して(あるいは全額など)取引パスワードを入力すれば、最終確認画面が出てきて、注文完了です。

 

さて、投資信託は買ったものの、個別の株売買とは違って、「値段が上がったからタイミングを見計らって売ろう!」というものではありません。基準価額というものがあって、株価と同様、その投資信託の一口あたりの価値を示しており、大抵は1万口あたりの金額で提示されています。この基準価額が運用の成果で上がっていった場合、分配金が支払われます。分配金が支払われるとその分、基準価額が下がります。ファンドの中には収益がなくとも決まった分配金を支払うタイプのものがありますが、これはその分元金が減っていることを理解しておく必要があります。

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インデックスファンドは分配金がない(無分配再投資)タイプのほうが多いのですが、それはベンチマークという指数に連動することを目的としているため、分配金を出して、基準価額が下がってしまうと指数からかい離してしまいます。そもそもこのベンチマークには、配当込みの指数、配当なしの指数と二通りあって、分配金(配当)がないタイプは配当分が再投資され、基準価額に反映されているはずなので、配当込みの指数との連動を目指すことになります。しかし、分配金なしのファンドなのにベンチマークは配当なしを連動対象としているファンドは多数あります。このあたりは調べて行くとなかなか興味深いのですが、難しい話になるのでここでは省きます。

 

では、分配金のないインデックスファンドはどうやって利益を出すのでしょうか。インカムゲインがないのであれば、キャピタルゲインですね。基準価額が上がったところで売れば利益が出るわけですが、個別の株のように短期間で大きく値が動くようなものではないので、長期保有が原則です。つまり、ほったらかしにしておくわけです。また、1万円くらいずつ、安い時を狙って買っていくと、購入単価(個別元本)を下げられます。今は積み立て投資信託というのがあって、証券会社によっては100円(SBI証券)から投資信託が買えます。買い時を分散できるので、無理なく、高値掴み(値段が高い時に買ってしまうこと)を防ぐことができます。

 

このようにして、ほったらかしにしたり、安い時に買って口数を増やしたり、あるいは自動積み立てにしてコツコツ増やしていくなどして、投資信託を貯金するような感覚で資産を増やしていきます。この時にやみくもに投資信託を買っていくのではなく、アセットアロケーションを考えて買っていくと賢い資産運用ができます。アセットアロケーションについては、投信で 分散投資 お手軽にでも説明しましたが、投資のパフォーマンスを得る上でとても重要な部分であり、より専門性が必要になってくるのですが、こうしたバランスまで考えてくれるサービスにファンドラップ*1というものがあります。まとまったお金とそこそこの手数料を取られるので、よほど余裕のある人でないとおすすめできませんが、今はネットでたくさんの有益な情報が得られますので、稼いでいる人のブログなどを参考にアセットアロケーションを考えていくのもいいと思います。

 

さてさて、話が長くなってしまいましたが、「いつ売る?」という話に戻しましょう。事前に30%上がったら売るなど、目標値を設定しておく方法があります。ただ、これだと、ほっといたらもっと上がったのに、残念だったとか、再投資を繰り返して余計なコストがかかってしまったり、さらには、なかなか上がらず、どんどん下がっていき、結局だめファンドを持ち続けることにもなったりします。こうした売り時の見極めに右往左往して、投資信託のメリットである、専門家にまかせてほったらかしにできるという目的から外れてしまっては、資産運用の要、長期投資が出来なくなってしまいます。

貯金箱にお金が貯まったら、「よし、これで〇〇を買おう!」と貯金箱を壊してお金を出すように、あるいは最初から「〇〇を買うために貯金しよう!」というように、〇〇を買う時が売り時です。その時にファンドの基準価額が下がっていたらどうするの? という疑問が出てくるとは思いますが、買う時に一遍に買わないように、売る時も数回に分けて売るなど工夫をします。これが出来るように、〇〇を買うという目標があった場合、その数年前から準備をしておけるとベストです。利益が出ているものから売っていき、たとえ、下がっていても、必要なら売るというスタンスをとるべきでしょう。なぜなら、そのファンドはこれからもっと下がるかもしれないのです。確実に利益が出るというものでない以上、一番いい売り時など誰にもわかりません。「必要な時に必要なだけ売る」これが投資信託の売り方です。

 

今回、投資初心者に向けて、投資信託について解説してきたわけですが、私自身も実際にやりながら投資信託を知れば知るほど、思ったほど簡単じゃないということに気づかされます。アセットアロケーションしかり、トータルリターン*2やリスク許容度*3など、投資信託を長期でやろうと思えば、これらを知らずにやることは、杜撰な投資をしていると思ってしまうほどです。だからというわけではありませんが、勉強すればするほど、投資というのは慎重になり、人に安易に勧められないものです。『やってみよう!FXなんてとても私には言えません。こう書くと、比較的安全と言われる投資信託でも「怖いなあ‥」と思ってしまうかもしれません。しかし、そんなことはありません。投資の基本中の基本。「余裕資金でやる」ということさえ守れれば、投資は怖いものではなく、利益をもたらしてくれるものです。まずは少額から、気長にやっていきましょう!

 

*1:顧客のリスク許容度や投資目的に合わせて、専門家のアドバイスをもとに異なるタイプの複数の投資信託を選び、これらを組み合わせて運用するサービス

*2:インカムゲインキャピタルゲイン(キャピタルロス)を加えたもの。つまり、基準価額の増減に配当金を足して、これを購入価格で割った数字がトータル・リターンとなる。

*3:資産運用に伴い発生するリスクをどの程度受け入れられるかの度合のこと。投資家の年齢や収入、保有資産、投資経験や運用知識など様々な要因で定性的に測ることができる