老後資金 3000万は 必要か?
こんにちは。FPのみかりこです。
前回、年金額を増やす方法について書きましたが、今回は「そもそも老後資金っていくら必要?」というお話をしたいと思います。
これに関しては、いろんなところで、いろんな記事を見かけますが、よく言われるのが3000万円という額です。これはサラリーマン夫と専業主婦の夫婦の年金額の平均を出し、想定される老後の生活費から引いた不足分を平均寿命まで加算した数字のようです。つまり、公的年金は含まない夫婦二人で必要な金額です。
実際はどんなものなのか、データの平均を拾って試算してみましょう。
平成26年度の厚生年金受給者の月平均の受給額は14万7千円、国民年金受給者は5万円というデータがあります。*1
厚生年金の夫と国民年金の妻という想定で二人合わせて20万円とします。
65歳以上のひと月の支出の平均が26万5千円*2
不足分は6万5千円。二人とも90歳まで生きると仮定すると25年。
6.5万円×12×25=1950万円
約2000万円必要です。ただしこれは平穏無事に、現状の制度のまま余生を送ることができた場合であって、様々なリスクを想定していません。突発的な支出や、医療費、介護費用の負担増、年金の減額、インフレリスクなどもあります。これらを織り込めば確かに3000万円は必要という答えになるでしょう。
老後最も懸念されるのが、医療費、介護費用です。
家計経済研究所*3の調査によると在宅介護にかかる費用の一人当たりの月平均額は6万9千円(介護サービス費用3万7千円+介護サービス以外の費用3万2千円)となっています。7万円近い出費に驚いてしまいますが、平均値は少数の高額支出者の影響を受けてしまうので、もう少し現実的な数字として中央値(金額を高低順に並べた時の中央の値)を見ると4万4千円となります。それでもやはり大きな出費です。
介護期間は平均で4年11か月という調査結果があります。*4
4万4千円×59か月=259.6万円
約260万円介護費用がかかる計算です。
介護が必要となる人は80歳を超えると急激に増えます。下図は介護給付費の受給者数の年齢別割合です。女性は80歳を超えると3割近く、85歳以上になると5割近くになっているのがわかります。
※厚生労働省「介護給付費実態調査の概況より」
先ほどの老後の生活費の平均額26万5千円にはこれらが含まれていません。介護費用は子が持つケースもありますが、自分で備えるのが基本です。介護保険では賄えない、介護用品代、自宅のバリアフリー化※なども考えると、算出した必要額2000万円+1000万円は準備しておいたほうがよいでしょう。
※介護保険からバリアフリー目的のリフォーム代は上限20万円(1割自己負担)で18万円の助成金が支給されます。
私なりの結論は
夫婦二人の老後資金として
マスト2000万円、ベスト3000万円必要
追記
最初の前提として、昭和なタイプ(サラリーマン夫と専業主婦)を想定しましたが、これが会社勤めの共働き夫婦なら、不足金額も減り、退職金も多くもらえるので、かなり楽になると思います。一方、年金額が少なく、退職金もない自営業者は大変です。次回はそちらについて書いてみたいと思います。