数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

税金を 知れば得する 住宅ローン

こんにちは。FPのみかりこです。

今日はためになる税金の話(ほぼ住宅ローン控除の話)をしたいと思います。

所得控除税額控除の違いってわかりますか?

所得控除とは、経費を引いた収入(所得)から一定の金額を控除することです。その控除された金額に対して税率をかけ、所得税を出します。所得控除の中には人的控除基礎控除配偶者控除、扶養控除など)と物的控除(医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除など)があります。たとえば、iDeCo(個人型確定拠出年金)では掛金が全額控除※1されますが、それは所得から掛金の全額を引いて、残った額に対して、税率をかけて所得税を出す、所得控除(物的控除)のひとつです。

※1  小規模企業共済等掛金控除

なので、掛金分の税金がまるまる返ってくるわけではなく、税率が20%(所得が330万円超695万円以下)の人であれば、掛金×20%、税金が安くなるということです。

一方、税額控除というのは、所得控除された金額に税率をかけて出た所得税額から、さらに引く控除のことです。外国税額控除や配当控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などがあります。この中でも住宅ローン控除は金額も大きいため、いろいろ知っておくとお得な面もあると思いますので、以後、詳しく説明したいと思います。

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住宅ローン控除とは自分が住む家を住宅ローンを使って購入した場合に、一定の条件を満たせば、税金の控除が受けられるというものです。これは増改築でも条件を満たせば受けることができます。

 

住宅ローン控除の適用要件

新築住宅 ・床面積50㎡以上 ・床面積の2分の1以上が自己の居住用
既存住宅 ・上記新築住宅の条件を満たすこと ・取得の日以前20年以内(耐火建築物は25年以内)に建築されていること、または一定の耐震基準を満たすこと
増改築等 ・自己の所有家屋にかかる増改築であること ・工事費用100万円超で、総額の2分の1以上が居住用の増改築等の費用であること ・工事後の家屋の床面積が50㎡以上かつ2分の1以上が自己の居住用であること
住宅ローンの要件 金融機関の借入れで償還期間10年以上 (親族からの借入れ、勤務先からの基準金利未満の借入金は対象外)
その他 ・取得日から6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること ・その年の合計所得金額3,000万円以下の場合に適用

 

控除額

入居開始 年末ローン残高の限度額 控除率
(10年間)
最大控除額
(10年間)
2014年4月~2021年12月31日 4,000万円
(5,000万円)
1.0% 400万円
(500万円)

※()内の金額は、認定住宅を新築または取得した場合
※年末ローン残高×控除率1.0%=各年の控除額

 

たとえば3,000万円の住宅ローンを金利1.5%、返済年数35年、元利均等返済で組んだ場合の借入れから10年間の年末ローン残高と控除額です。

(2017年9月ローン開始)

元金残高 最大控除・減税額
2017年(平成29年) 29,782,171 297,821
2018年(平成30年 29,122,113 291,221
2019年(平成31年 28,452,084 284,520
2020年(平成32年 27,771,936 277,719
2021年(平成33年) 27,081,515 270,815
2022年(平成34年) 26,380,667 263,806
2023年(平成35年 25,669,232 256,692
2024年(平成36年 24,947,054 249,470
2025年(平成37年) 24,213,967 242,139
2026年(平成38年) 23,469,809 234,698
合計 2,668,901

 

住宅ローン控除を受ける場合、確定申告をしなければなりません。ただし、給与所得者で年末調整を受けられる者は、2年目以降は年末調整で済ませることができます。1年目の控除額は約29万円で、年が経つほど控除額は減っていき、10年目は約23万円となります。この額は所得税として算出された金額からまるまる引かれます。

 

年収600万円(課税所得310万円)の人の場合

所得税:310万円×10%-97,500円=212,500円

・住民税:315万円×10%(一律10%とする)=315,000円

※住民税の基礎控除は33万円で、所得税基礎控除の38万円よりも5万円少ないため。 

1年目は212,500円-297,821円=-85,321円

つまり、所得税は0円となり、さらに引ききれなかった分が85,321円あります。

これは住民税から引くことができますが、住民税から引くことができる限度額は136,500円と決まっています。85,321円は限度内なので、全額住民税から引くことができ、住民税は229,600円(100円未満切捨て)となります。

このケースでは全額控除できましたが、収入が少なく、納めている税金が少ない人の場合、控除額が全額引ききれない場合があります。しかし、そうした場合でも次年度に繰り越しはできません。

 

年収400万円(課税所得175万円)の人の場合

所得税:175万円×5%=87,500円

・住民税:180万円×10%=180,000円

1年目は87,500円-297,821円=-210,321円

住民税の限度額136,500円より大きいため、210,321円-136,500円=73,821円は引ききれず、無駄になってしまいます。

 

どうしても控除額を使い切りたいのであれば、共働き夫婦であれば、ローンを2つに分けるという手があります。

夫が年収400万、妻が年収200万の夫婦の場合、夫名義で2,000万円のローン、妻名義で1,000万円のローンを組んだとします。

 

 夫、2,000万円の住宅ローン

元金残高 最大控除・減税額
2017年(平成29年) 19,854,782 198,547
2018年(平成30年 19,414,748 194,147
2019年(平成31年 18,968,068 189,680
2020年(平成32年 18,514,643 185,146
2021年(平成33年) 18,054,369 180,543
2022年(平成34年) 17,587,142 175,871
2023年(平成35年 17,112,858 171,128
2024年(平成36年 16,631,409 166,314
2025年(平成37年) 16,142,685 161,426
2026年(平成38年) 15,646,580 156,465
合計 1,779,267

 

夫、年収400万円(課税所得175万円)

所得税:175万円×5%=87,500円

・住民税:180万円×10%=180,000円

1年目は87,500円-198,547=-111,047円

住民税の限度額136,500円より小さいため、全額住民税から引くことができ、住民税は68,900円(100円未満切捨て)となります。

 

妻、1,000万円の住宅ローン

元金残高 最大控除・減税額
2017年(平成29年) 9,927,390 99,273
2018年(平成30年 9,707,372 97,073
2019年(平成31年 9,484,029 94,840
2020年(平成32年 9,257,314 92,573
2021年(平成33年) 9,027,175 90,271
2022年(平成34年) 8,793,558 87,935
2023年(平成35年 8,556,413 85,564
2024年(平成36年 8,315,686 83,156
2025年(平成37年) 8,071,323 80,713
2026年(平成38年) 7,823,271 78,232
合計 889,630

 

妻、年収200万円(課税所得64万円)

所得税:64万円×5%=32,000円

・住民税:69万円×10%=69,000円

1年目は32,000円-99,273=-67,273円

住民税の限度額136,500円より小さいため、全額住民税から引くことができ、住民税は1,700円(100円未満切捨て)となります。

 

このように、夫婦でローンを分ければ、全額控除することができました。ただし、このように夫婦二人の名義でローンを借りた場合、妻が妊娠、出産などで休職あるいは退職した場合、妻側の住宅ローン控除がまるまる無駄になってしまうなどのデメリットも考慮する必要があります。また、夫婦二人でローンを組むと言っても、個別に組むのか、連帯債務者あるいは連帯保証人となって収入合算でローンを組むのかで、住宅ローン控除に違いがあります。ここで確認しておきましょう。

 

1.夫婦が個別に住宅ローンを組む

→それぞれが住宅ローン控除を受けられる

 

2.夫(妻)が住宅ローンを組み、妻(夫)が連帯債務者になる

※本人と同様に債務を負うのが連帯債務者である。フラット35は、一方が住宅ローンを組み、もう一方が連帯債務者になることで収入合算でローンを組むことができる。

→それぞれが住宅ローン控除を受けられる

 

3.夫(妻)が住宅ローンを組み、妻(夫)が連帯保証人になる

※借入先に対する債務者はあくまでも夫のみで、妻は連帯して債務を保証する人という位置づけである。とはいえ、夫の返済が滞れば、妻に返済請求が来るので、責任の重さは連帯債務者とあまり変わらない。民間の金融機関では、収入合算でローンを組んだ場合、一方が連帯保証人となるケースが多い。

→夫(妻)のみ住宅ローン控除を受けられる

 

住宅ローン控除は税額控除であり、金額も大きいため、受けられる10年間は所得税がゼロ、住民税もかなり減るケースが多いので、目一杯利用したいところです。とはいえ、手元に現金があり、一括で購入できるにも関わらず、ローン減税目当てにローンを組むのは本末転倒です。上記の例では、全額減税できたとしても267万円、これに対し、払う利息は400万円近くになります。

しかし、ここで諦めるのはまだ早い! 利息は払わず、減税だけ受けられるという夢のような方法があります。それが、預金連動型住宅ローンというものです。東京スター銀行さんが有名ですね。これはローン金額と同額の預金を預ければ、ローンの利息が0になるというものです。いくらか手数料はかかりますが、減税額の方が多いので、現金が手元にある人にとっては一括購入よりもメリットがあると言えます。

おっと、今、こんな声が聞こえてきました。

「現金がないからローンを組むんじゃないか! お金がある人だけいい思いをするなんてずるい!」

ほんと私もそう思います。