数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。AFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

インフレに なれば老後は サバイバル

こんにちは。FPのみかりこです。

唐突ですが、キャピタルゲインインカムゲインの違いを説明できますか?

複利の計算はできますか?

「そんなの簡単だよ」と言う人と「わからないけど、それで困ったことない」と言う人に分かれるかと思います。私はFPの勉強をする前は、もちろん後者でした。高校から文系だったため、分数の計算も忘れていて学び直さなければなりませんでした。

ちなみに答えは

キャピタルゲイン 資産の売却,値上がりなどで得た利益 

インカムゲイン 利子や配当による利益

複利計算 元利合計=元本×(1+年利率÷100)n
※n=年数 

今、学校教育のどこかでこれらを学んでいるのかはわかりませんが、少なくとも私が学生の頃、お金の増やし方を学んだ記憶はありません。それは、お金は労働の対価としてあるもの、という思想のせいでしょう。

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今から17年前のことですが、とても印象に残っていることがあります。郵便局から定額貯金が満期になったお知らせのハガキが来たのです。平成2年にバイトで貯めた10万円を定額貯金にしていたことをすっかり忘れていました。10年預けて16万円になっていました。見ると利率が5%近い数字でした。15年預けていたら倍になる計算です。(実際は10年満期なので、満期後は通常貯金の金利になる)

何の努力をしなくとも10年後にお金が1.6倍になる時代に、お金の増やし方を学校で教えるわけがありません。できれば子供にはそんなことは教えたくないという親のほうが多そうです。

では、今はどうでしょう。ゆうちょの定額貯金(3年以上)の利率は0.010%です。半年複利で計算して10万円預けた場合の10年後の税引き前の元利合計は10万200円です。

10年預けて200円しか増えない時代に生きているわけです。いや、それどころか、インフレに傾けば、実質価値はどんどん目減りしていきます。アベノミクスが2%の明確なインフレ目標を設定していることを考えると、1年で物価が1.02倍になるわけですから、10年後には今10万円で買えていたものが、12万1900円出さないと買えなくなるわけです。言い換えれば、預けた10万円は10年後には8万2千円ほどの価値しかなくなっているわけです。これは非常に怖いことです。自分で努力して稼いだお金なのに、そのまま放っておくとどんどん目減りしていくのですから。

ここでこんな声も聞こえてきそうです。

「でも、インフレは悪いことばかりじゃないよね。物価が上がるってことは、自分たちの賃金も上がるわけだから」

そのとおり。現役でガンガン稼いでる人にとってはお金の価値が下がろうと、それ以上に給料が増えていれば何の問題もないわけです。つまりインフレの恩恵を受けられる人(収入のある人)にとってはインフレは怖くありません。

そうです。怖いのは、インフレの恩恵を受けられない人(年金生活に入った人)たちです。

公的年金は物価スライドがあるとはいえ、マクロ経済スライド*1のせいで思ったほど増えず、それを補う私的年金企業年金国民年金基金、小規模企業共済、個人年金保険など)は物価スライドがないので、本来想定していた年金収入より実質的な価値は目減りしているわけです。それらの収入のみで、物価が上がった世界で暮らすわけですから、非常に生活が厳しくなることは想像に難くないでしょう。これに対し政府は「資産運用して自分たちでお金を増やす努力をしてください」という対応を示したわけで、それがNISA個人型確定拠出年金(iDeCo)の登場に表れています。つまり少子高齢化で年金制度がぐらつき始めている中、「政府に頼らず自己責任でお願いします」と言っているわけです。ならば、学校教育でお金を増やす勉強=金融リテラシーを身につけさせるべきだと思います。 

※<NISAとジュニアNISA>株式や株式投資信託の配当所得および譲渡所得が非課税になる制度

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これからの厳しい年金時代をサバイバルするための方法は3つあります。

1.資産運用をしてインフレに強い資産を形成する

2.インフレなど気にならないくらい現役時代に稼いで蓄えておく。

3.自己に投資して、老後も収入を見込めるスキルをつける。

 

この3つともできれば言うことないですが、どれか一つでもやっておかないと老後の安心が得られない時代になってしまいました。

なかでも1の資産運用は敷居が低くなっており、政府も「貯蓄から投資へ」と後押ししています。裏を返せば生き残るためにはやらざるを得ない状況まできているということです。

また、何があっても「自己責任」という便利な言葉で片付けられるので、金融リテラシーがないと痛い目にあうこともあります。そういう意味でも子供のうちからお金の勉強をすることは決して無駄ではないと思うのです。

 

*1:そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組み