数字みてると眠くなる

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP。お金の知識をわかりやすく伝えることを目標に、記事を書いていきます。

自営業 自分で作る 退職金

 こんにちは。FPのみかりこです。

「老後の不安を解消するには」の第三弾。自営業者、フリーランスの老後の備えについて書きたいと思います。

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自営業者やフリーランスが入る国民年金はいわゆる1階部分のみで、会社員が入る厚生年金よりも、平均で月10万円程少ない、6万5千円(平成29年度の満額より)しかもらえません。また、退職金もないので、老後の不安は会社員の比ではありません。

年金を増やす方法としては以前こちらに書きました。

「年金を 増やしてさらに 節税も」

これにもう一つ「小規模企業共済」も加えておきましょう。

<小規模企業共済>

対象者

従業員20人以下(サービス業などは5人以下)の個人事業主または役員

掛金

月額1000円~7万円

増額や減額はいつでも可能

税制

掛金:小規模企業共済等掛金控除(全額)

給付:年金‥雑所得(公的年金等控除)

一時金‥退職所得(退職所得控除)

 

特徴としては国民年金基金や個人型確定拠出年金iDeCo)と違い、いつでも解約が可能なこと。ただし、20年以上加入していないと元本割れするリスクがあります。ここで検討から消えた!となるかもしれませんが、12か月以上続けていれば、最低でも8割は戻ってきますし、事業を廃業したり、65歳(15年以上加入が条件)になって老齢給付として受け取る場合は元本は保証されます。

節税効果については、たとえば課税所得が500万円(税率20%)の人が月3万円の掛け金を払っていた場合、36万円が所得控除されるので、36万円×20%=7万2千円の節税となります。実質、月の掛け金は2万4千円になる計算です。つまり掛け金が8割で済んで、最低8割は戻ってくることを考えると、選択肢としては悪くないと思います。

※所得や掛け金によっては思ったほどの節税にはならない場合もあります。

この小規模企業共済と個人型確定拠出年金一時金としても受け取れるので退職金として活用できます。税制優遇の中でも控除額が大きい退職所得控除が使えるのがメリットですが、控除額は期間が長ければ長いほど多くなるので、逆を言えば、期間が短い場合は前述の元本割れも含めメリットは少ないかもしれません。

<退職所得控除>

勤続年数

退職所得控除額

20年以下

40万円×勤続年数(最低80万円)

20年超

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

個人事業主などの場合は勤続年数=加入期間
※1年未満の端数がある場合は1年切り上げる

 この退職所得控除額を引いた金額のさらに2分の1の金額に課税されます。

課税される退職金=(総収入金額-退職所得控除額)×1/2

 

早めに準備しておけば、メリットが大きいというのは、お金の運用すべてに言えることですが、ここで忘れてはいけないのが、インフレリスクです。長い契約ほどリスクが伴います。公的年金では物価スライドがありますが、国民年金基金企業年金(確定給付タイプ)、小規模企業共済、個人年金(変額型除く)などはインフレリスクに対応していません。確定拠出年金はそれに比べればインフレに強い商品ですが、自分で選択して運用する分、将来増えるか減るかは自己責任という怖さもあります。

このように、将来もらえる年金額を確定してしまうと、インフレリスクに見まわれますが、変額型にした場合は、運用リスクが伴います。どっちがいいのか迷ったら、分散するのが正解です。確定半分、変額半分にしておけば、リスクは半分になります。

 自営業者やフリーランスにとって、老後資金は早いうちに準備しておけば、その分得をするということが分かったと思いますが、それでも「これで充分だ」という域に達する人はなかなかいないでしょう。それは会社員に比べて保障が少ないことがあげられると思います。たとえば、会社員が入る健康保険には傷病手当金があって、ケガや病気で収入が得られなかった時に給付金がもらえます。

傷病手当金

支給要件

療養のため働くことができない(自宅療養でも良い)

連続3日間会社を休んでいる(4日目から支給)

支給額

欠勤1日につき標準報酬月額の30分の1×3分の2

支給期間

最長16か月

 

国民健康保険にはこれがないので、貯金を切り崩すか、収入保障保険のような民間の保険に入ってカバーする必要があります。万が一、死亡した時にも残された家族は遺族基礎年金しかもらえません。*1(会社員はこれに遺族厚生年金がプラスされ、死亡退職金などももらえる)つまり、不安定な分、リスクに備えなければならないために、多くのお金が必要になってしまうわけです。

しかし、マイナスな面ばかりではありません。その気になれば死ぬまで働けるという利点があります。これは、平均寿命がどんどん延びて、皆が長生きする世の中にあってはとても大きな魅力です。65歳の定年から寿命まで、25年近くあります。25年というのは新卒から働き始めたら48歳になるまでの期間です。もちろん、死ぬ間際まで働けるわけではありませんから、実際は40歳くらいの感じでしょうか。

この期間何をしているのか・・・。これからの時代の大きな課題です。

会社員だった人が再就職する場合、キャリアはリセットされます。限られた低賃金の仕事しかない可能性は大きいです。それでも何もしていないよりはいいかもしれません。

そう考えると、今までやってきた仕事をずっと続けられるということは、お金の面以上に精神面で良いように思います。もらえる年金は少ないけれど、現役並みの収入が続いているのでトータルの収支では自営業者の方が上というケースは十分にあり得ます。

老後は不安ばかりじゃない!と思って、自営業者の方、フリーランスの方はじゃんじゃん収入を増やしていってほしいと思います。

 

*1:18歳以下の子供がいる妻または子という要件がある